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Y’s tellingBLOG

2018.10.07

北の大地からの経営者発信② アサヒ食品工業株式会社 代表取締役 石川 孝志さん 「もともとは料理人。お客さまに美味しいと言われることが何よりもうれしい」 オホーツク味の乾麺

 

アサヒ食品工業株式会社 代表取締役 石川 孝志さん

「もともとは料理人。お客さまに美味しいと言われることが何よりもうれしい」

 

アサヒ食品工業社長、石川孝志さん。優しい表情の奥に、ぶれない男の気迫が宿る。 「運命」の二文字が人生を物語る。東京で料理人の道を歩み続けるはずだったが、家業を継いでいた兄の突然の訃報により、31歳で実家に戻って製麺の世界に入ることになった。

Uターンした当初、父親はゆで麺と生麺をやっていた。石川さんは営業を担当。その後、父親は海外産小麦粉(外麦)で乾麵作りにも手を広げたが、生産過程の不手際などでクレームも少なくなかった。工場長が会社を辞めたことをきっかけに、自らが乾麵づくりに携わることに。

「地元の北海道産小麦(道麦)で乾麺を作りたい」。石川さんの料理人としてのこだわりが乾麺づくりでも頭をもたげてきた。

ちょうど、海洋深層水が話題になった頃、石川さんが目をつけたのは温泉水だった。近くのかみゆうべつ温泉「チューリップの湯」の源泉と道麦とをマッチングできないか。

それから2年にわたり、石川さんの試行錯誤が始まった。常温の温泉水と道麦を練っても上手くいかない。どうしたらいいのか。悪戦苦闘の日々が続く中で、支えとなったのは、石川さんの鍛えられた味覚とぶれずに挑み続ける心意気だった。業務店や一般消費者の反応を何度も何度も確認しながら、「つるりとしてコシが強く味も深い」商品に自信が持てるようになった。

こうしてチューリップの湯と道麦をマッチングさせた温泉水麺は道内業者を通じて全国ばかりか香港など海外にも流通している。

アサヒ食品工業の創業は1965年で、兄に代わって家業を継ぐ石川さんは2代目だ。石川家は愛媛県から興部町に入植して農業を営んでいたが、北海道を代表する製麺メーカー「菊水」を創業した叔父(母親の兄)の勧めで、父親が現在の中湧別の地でうどんの製粉や製麺を始めた。

石川さんが高校時代、新鋭の機械を入れた工場が火災となった。資金繰りの厳しさから、大学進学を断念し、上京して料理人の修行を積んだ。13年超の料理人生活で懐石料理などでも腕を振るった。

 

石川さんは、叔父が創業し今は伊藤ハムグループとなった菊水(江別市)や西山製麺(札幌市)に負けない差別化できる商品づくりを目指し続けたいと言う。「小さいながらも意地を示したい」と謙虚に語る。

地球温暖化で稲作や小麦栽培の適温地域が北海道となっていることに「北海道は食糧基地として大きな可能性がある」と目を輝かす。

息子さん2人は外資系企業などに就職している。「80歳まで働くことが目標です。健康管理はきちんとしているから大丈夫」と笑う。そんな石川さんの楽しみの一つは週末に畑で農作業をすることである。

 

会社概要

商号       アサヒ食品工業株式会社

代表者    代表者取締役 石川 孝志

住所       北海道紋別郡湧別町中湧別東町339番地

創業       昭和27年

 

主要製品

乾麺 (北海道産小麦100% 練水 かみゆうべつ温泉「チューリップの湯」源泉使用)

 

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